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教育開発委員会


協会創立後第 2回目の理事会が1987年4月18日に開催され、 教育開発委員会(人材育成)、 研究開発委員会(研究、能力開発、イベント企画)、情報委員会(コミュニケーション誌、異種交流、国際交流)、組織委員会(組織強化拡充) の4つの委員会設置が決まり、 協会員全員が各自の希望によっていずれかの委員会に所属することになりました。 当時の協会レポートには「理事が組織の縦軸とすれば委員は組織の横軸といえます。このような意図で設けられた各委員会は、 協会員全員が参加してい<ことに意義と活力があるようです。」と記載されています。

教育開発委員会に所属した会員は、 社員教育や学校教育など何らかの形で VMDの教育に携わっている人が多く、当初から共通する問題意識が持てたことが、その後の旺盛な活動に繋がりました。毎月一回の例会を設け、 その月の理事会報告と、 その後、VMDの教育内容の発表や、現状のVMD教育の問題点についての意見交換など、さまざまなテーマによる検討が毎回活発に行われました。
その中で、商品装飾展示技能検定実施の受け皿団体としてのセミナー開催も、活動の大きな柱でした(2001年度で終了)。技能検定受検対策セミナー開催にあたり、模擬試験の作成や実技指導のシミュレーションなど、多くの時間を活動に充てましたが、 1 級試験の完成図作画に対応した通信教育講座は、 教育開発委員会の会員によってシステム開発を行い、添削指導を手弁当で実施していました。
例えば1988年6月の第3回教育開発委員会例会の内容は、記録によると次のようなものでした。

①理事会報告
②技能検定に関する報告
③VMDト ー ク … ファッションディスプレイの変容
            ショップデイスプレイの変遷と現状
         日本のディスプレイとVMDの関係

このようなVMDに関する意見交換を進める中で、人によってVMDの用語の捉え方が違うことが浮上し、VMD用語事典の編纂に繋がって行きました。 創立3年目、1990年1月31 日に教育開発委員会委員が編集委員となり、その後編集委員以外の会員も加わり用語編纂委員会が設置されました。編集委員長の花見保次さんを中心に頻繁に会合が開かれ、1992年2月からはほぼ毎週、 その後は週 2回、そして追い込みは毎日の編集、校正作業となりました。入稿当日ギリギリに地下鉄の階段の上で原稿を訂正した担当者もいたほどです。 執筆に於いては多くの協会員の参加を得て、『VMD用語事典』が1995年4月に刊行されました。VMDに携わる人にとって、 あるいは技能検定を受検する人にとっても、待ちに待った一冊でした。今では、商業施設に関連する仕事をしている方々にとって必携の書になりました。本年協会創立30周年を迎えるにあたり、昨年末に改訂版が出版されたことは、VMD用語事典がますます社会的に重要な意味を持つことの表れでしょう。用語事典発刊後も引き続き技術編の編纂を行い、それが商品装飾展示技能検定ガイドブックとして今に至っています。

仕事も忙しい中、委員会メンバーが皆、この活動に参加することが楽しく意義を感じていたからこそ活動が継続できました。またこの活動を体験する中で結果的に多くの情報に触れ、仕事に反映できる沢山の学びがあったことも特筆しておきたいことです。現在はこのような形での委員会活動がありませんが、目的を持った会員同士の交流の場として、また同時に学びの場として、教育開発委員会活動は今に続く大きな役目を果たしました。

(楫 義明)