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専務理事・常務理事・事務局


多岐にわたった専務理事及び連絡事務局の業務

協会設立から2002年までの15年間、専務理事であった佐藤昭年氏の代官山のオフイスに協会連絡事務局が置かれていました。佐藤氏はこのオフィスを拠点に、専務理事としてのきめ細かな活動を展開しつつ、協会の発展を陰で支える大きな役割を担われました。
協会創設に当たり、ゼロから新たな組織を立ち上げる際の膨大な事務処理や規約作りを始め、広報、公的機関との交渉など、大きな責務に対する専務理事の貢献度の高さには、筆舌に尽くし難いものがありました。
それは、協会が社会的認知を得るために必要なことであり、佐藤専務理事の緻密な取り組みによって、協会としての枠組みが早期に作り上げられることになりました。
会員参加型の様々な活動が多く立案され、活動の盛んな協会としてスタートし、これまで継続して来ましたが、現在の協会活動のほぼ全てのスタイルは、佐藤専務理事によって考案されたものと言えます。

佐藤氏が日常行っておられた専務理事及び連絡事務局としての職務は、概ね下記の内容でした。

  • 理事会関連
  • 総会、パーティ関連
  • セッション関連
  • ジャパンショップ関連
  • 技能検定関連
  • 理事選挙関連
  • 電話、FAXの応対
  • 会員対応、管理
  • 会報、名簿作成 発送業務
  • 経理事務
  • 出版物、各種資料管理
  • 多団体への対応

無論これらは、理事及び会員の関与が不可欠でしたが、佐藤専務理事及び連絡事務局の職務は多岐にわたり、その業務量は想像を絶するものであったと考えられます。

専務理事から常務理事体制へ移行 新たな事務局への実験

2002年5月17日に開催された第16回総会で、理事長が八鳥治久氏から田中寛治氏へ交代し、それまでの専務理事から常務理事体制への移行が決定され、同時に佐藤昭年氏にかわって常務理事に上原寛一郎氏が就任しました。代官山の連絡事務局を閉じ、新たな事務局に移行することに対し、2002年3月11日付協会会報に、理事選挙を辞退された専務理事の佐藤昭年氏は「ニューモデル協会事務局への実験」と題した文章を、同じく理事選挙を辞退された理事長の八鳥治久氏の文章とともに掲載されています。以下に全文を転載し、佐藤昭年氏の当時の思いを振り返りたいと考えます。

15年前に93名で創立以来、VMD協会は「事務局のあり方」も課題としてさまざまな実験改革を行って参りました。現実的な判断もあり、独立した事務局スペースと専属事務局スタッフは配置せず、軽装備なスタイルを求めて参りました。しかし更に時代に合わせてより一層のローコスト、コンパクトな運営を目指して4年前より総会や理事会で、協会事務局のニューモデルについての案を提示して参りました。
協会員情報のデータベース化、各種DMなど発信物のコンピューター処理、協会案内、名簿、ステーショナリー等デザインのDTPによる内製化、イメージ統一のためのデザインモデルの案出を行ない布石を打って参りました。
今後より一層の合理的な運営は、幸いにして今なお勢いのある協会の維持発展、さらには会費の抑制のため避けて通れない課題です。そのためには、一部機能の外部委任と内部で理事による分担が考えられます。現在さまざまな着想がありますが、この機に事務局のスタイルを更に発展させ改革を図る必要があります。これは理事長と専務理事という立場で思いを同じくしてバトンを引き継ぐ新たな方々に申し送りたい課題です。

リモデルを目指し改革をスタート

理事長及び専務理事の交代に伴い、2002年、八鳥治久氏と佐藤昭年氏は評議員に就任されました。2008年2月26日発行の創立20周年記念誌の「協会小史」の中で田中寛志氏は、改革に着手した当時を回想し、次のように記述されています。

(大切な)会費を、活気ある会員活動や新企画に生かすため、事務所機能(場所代+人件費)をスリム化し、お客さまの変化と共に、ネット空間と人の交流の場を共に大切にした協会に改革し、アウトソーシングに委託した。更に、全国地域での情報の共有化を目指し、2003年3月「協会ホームページ」を開設した。内容は「最新情報」「協会について」「活動紹介」「技能検定支援」「お問い合わせ」からスタートし改善を加えた。

この小史の中で田中寛志氏は、上記の他に、理事を責任と権限をもつ「執行理事」とし「樹木型逆ピラミッド組織」に意識改革したこと。すべての会員が自分の地域で活動を可能にする「会員ネットワーク」の設定と「地域リーダー」の選出にも触れています。

ウエブ事務局へ進化

2003年3月、コミュニケーション力を高めるために宮原清担当理事デザインによる協会ホームページを開設。その後2006年から理事長が現在の田代悦子氏となり、2007年には小林敦担当理事が加わり本格的なリニューアルに取り組みました。この時期に将来を見据えた協会の方針として、ウェブ事務局機能の充実を推進させました。
2016年9月にはデザインも一新し、ビジュアル効果アップとスマホ対応による情報発信力強化を図りました。
協会メールマガジンは2006年7月に配信がスタートしました。タイムリーに情報発信ができる協会の有効なコミュニケーションツールとして、常に機能をアップデートしています。

30年間の足跡を振り返って

こうして30年間を振り返ってみますと、事務局は組織と活動の要であることに気付かされます。前半の15年間は、佐藤昭年専務理事の考え方や進め方、思いが色濃く反映し、VMD協会の独自性とスタイル確立に大きく寄与されました。その分、氏への負担が過重となり、大きくなった協会と変化する時代にふさわしい、より合理的な事務局への転換を誰よりも積極的に提唱されていたことに、その切実さと責任の一端をうかがい知ることが出来ます。その後、田中寛志理事長を中心に改革が断行され、現在の田代悦子理事長に引き継がれています。ウェブ事務局への移行を目指してきたとは言え、依然として組織の支えになっているのは、上原寛一郎常務理事、早乙女喜栄子常務理事、現在の宮原清常務理事という「人」であることに何ら変わりはありません。その意味で「ネット空間と人の交流の場を共に大切にする協会」という改革のコンセプトは、今も生かすべきと考えます。

(藤井 秀雪)